まち in the soup~汁フェス振り返り~

それぞれの素材の味が出て、1つの味になるスープ。
それぞれ美味しいけど、1つになるともっと美味しい。

今回「アキナイ山王亭」で「汁フェス」という形で17日間、
「毎日石巻マルシェ」に参加させていただき、そんなことを感じました。

1つの鍋である「アキナイ山王亭」という場所。
これまでは各団体がそれぞれに活動していて同じ鍋に入ることは無かったけど、
今回の17日間は、1つの鍋でそれぞれの素材として、
スープとしていい味をまちに提供出来たのではないかと思っています。。

僕は「汁担当(通称:汁男優)」として、
期間中、8種類の汁を提供しました。

まずは、「そば米汁 from徳島」。
2014-01-13 10.22.56
これはうちの嫁がよく作っていて、
美味しいから皆に食べてもらいたいと
思ったことから提供しようと考えました。

そば米もダシも地元から取り寄せ、
それで提供しました。

嫁のお母さんからは「ありがとう」という言葉が。
自分たちが好きな味、それを知らない人たちに提供してくれての意味です。
すごくその言葉が嬉しかったのを覚えています。

次は「のり汁 from石巻」。
2014-01-14 11.05.43
石巻マルシェで販売しているモノをそのまま調理して出しました。

最初は違う汁をと考えていたのですが、
せっかくならマルシェで扱っているものを提供しよう
というきみえさんのアイディアでそうしました。

今回汁とセットで提供していた
「サンマ炊き込みご飯おにぎり from 木の屋さん缶詰」
がよく売れました、それに伴いサンマ缶詰も売れていたと思います。

商品を提供するだけではなく、
食べ方を提供する。
そうすることで商品が売れる。

例えば缶詰。
僕はあまり缶詰をあまり食したことが無かった。
だから味に対する想像力が働かない、
つまり商品に興味を持てない。という状態です。
それがおにぎりという形で口にすることで、一気に興味が湧いてくる。

そういうことがよーく分かりました。

その次は「けに汁 from津軽」
2014-01-16 11.39.32
これはうちの開発案件などを手伝ってもらっている
おがちゃんに作ってもらいました。

根菜、山菜を米に見立てて角切りにし、かゆのように食べる汁。
「けに」とは「かゆ」がなまったものということだそうです。

肉っ気が無いから、本当に素朴な味。
野菜の出汁がよく出ていて、それがより素朴な感じを演出していました。

そして「おくずかけ from石巻」
2014-01-19 11.01.45
何故かわからないんですが、この日の記憶があまり無いんですよね。。
完全にきみえさんに任せっきりで、それが原因かもしれません。

おくずかけは片栗粉でとろみをつけた醤油味の汁に、
色々な具と豆麩が入っているもので、
この豆麩があまり東京では見ないもので、
わざわざアンテナショップで買ってきてもらいました。

その次は「だまこ汁 from秋田」
2014-01-20 11.32.20
これはうーちゃんの提案。
だまことは、お米の玉。

ここで一旦話がそれて、米とトリの関係。
田んぼでお米を作る際、鶏がいることで、
小さな虫などを食べてくれる、つまり切っても切れない関係、
だからこそそれが同じ汁に入る。

これまでの例えば「そば米汁」「けに汁」と言うのは
お米が取れない地域が、それぞれの素材をお米に見立てて、汁を作っている。
だからこの「田舎汁」というのは、
その地域で何が取れていたという事がすごくよく分かる。

そう考えるとすごく贅沢な汁ですよね。
実際コストも1番かかっていたと思います。

で、そんな準備を日曜日にしていると、
たまたま秋田出身の人がマルシェの手伝いに来ており、
本場の作り方を教えてくれた。

おかげで鶏ガラスープを使わずに、
ちゃんと鳥のガラからスープを作りました。
2014-01-20-16.25

こういう縁というかタイミングというか
そういうものって有るんですね。

そしてラストへの助走ということで
「だご汁 from大分」
2014-01-22 11.40.17

みまーもさんの小宇佐さん作。

小麦粉と牛乳で団子を作るのが、ポイント。
ちょうどこのタイミングで、みまーもさんのサポーターの方も来店され、
みな本当に嬉しそうに小宇佐さんが作った汁を食べていました。

いつもと違う関係性、それに小宇佐さんが一生懸命作ったもの、
孫が一生懸命作ったような感じで、
それを見守るサポーターたちのその姿が微笑ましかった。

高齢者とスタッフの関係がとてもいいことがよく分かる
そんな象徴的な絵だったと思います。

そして「ワカメ汁 from 気仙沼」
2014-01-25 13.38.25
で、今回1つ大きく影響を受けたこと、
それは「ワカメ博士」の本庄さん。

本庄さんは「ワカメ」が大好き。
それはご自身で研究されていたということもあり、
知識量が半端ないこともあるのですが、
食べるのも大好きで、人が美味しいといってワカメを食べている姿も大好き、
真剣にワカメのことを考え、みんなに食べてもらいたいと思って行動している。

だから自分でワカメを取り寄せ、
それを提供しようと考え、行動に移した。

そういう姿って、ほんと心動かされるんですよ。
だから僕も自然とみんなに伝えたくなる。

みんなそういうものがあるんじゃないかな?
それを発掘できないかな、それも日本のいろんな地域のものを。
そんなことを思い起こさせてくれました。

オチとしては、ワカメ準備のため前日お手伝いに来てくれていたのですが、
おそらく「ワカメ」のことで頭がいっぱいで、
お子さんのミルクとおむつを忘れていた、
そんなところも含めて、素敵です。

「のり汁」出せなかったのは残念でしたね。。
2014-01-24 16.29.55

それで最後は「サバだしラーメン」
2014-01-26 10.42.54
これも本庄さんの提案で、自ら販売元と交渉し、
仕入れをしてくれました。

ラーメンは汁が命。
ということで、最後はラーメンにしちゃいました。

完全に準備をかみちゃんに頼りきってしまいました。
すみません。。。

これがね、ほんと美味しいんですよ、
サバって聞くとぼくもあまり惹かれる感じは無かったんですけど、
缶詰もそうだし、このラーメンもそうだけど、
本当に美味しかった、これまでの人生を悔いてしまうくらいです。

僕には田舎がない。
だから地域の食というものの知識があまりない。

だから素直にそういう各地域の物、食べ方、それに纏わる話。
そういうことを汁がきっかけで知れることがすごく嬉しかった。
今回がきっかけで石巻の取扱品もたくさん口にし、
石巻という場所が持つ力を感じた。
それは同様に他の地域でも同じことで、
本当に色があるというか、それぞれの特色を感じることが出来た。

で、「汁=知る」と考えると
今回の「汁フェス」ということをやることで
僕が一番色々と知ることが出来た。

これまで何気なく口にしていたもの、
そういうものにもきっと意味があるはずだし、思いがある。

このイベントを始める前、
試作を作って、それをアキナイ山王亭に来ていた方に提供したことがあった。
そのお母さんは田舎汁を食べて泣いていた。
懐かしくて故郷を思い出したということから
その後「嫁に嫁ぎに来た」という話から色々懐かしい郷土話をしてくれた。

その体験を経て、この企画は行けるんじゃないかと思った。

やっぱりどんな小さなことですら、
思いというものはやっぱり詰まっているのでは無いかと思うんです。
だからそんな思いを引き出したい。
そして無知な僕はそれを知りたい。
たぶんこれが僕の行動の全てだし、これを何とか形にしたい。

今回のイベントを通じて、よりその思いは強くなりました。

今回、「汁」をやるということで、
いろいろな人が力やアイディアを貸してくれました。

朝僕が前日の深酒が原因で寝坊しても、毎日お店を開けて続けてくれたかみちゃん。
あなたのお陰で無事に17日間乗り越えることが出来ました、みなそう思ってると思います。

仕込みを手伝ってくれた、きみえさん、野口さん。
頼りがいがありすぎるきみえさんに対して、危なっかしい野口さん、
それも素敵でした。

汁の提案をしてくれた、うーちゃん、本庄さん。
あなたたちの提案力と行動力には頭が下がります。

いつも場を盛り上げ、プロデューサー的に振舞っているもっぺさん他、
ちーちゃん、塩坂さん、村田ママさん、栄本さん、山本さんなど
他のマルシェの方たちも本当にありがとうございました。
平日は人が限られるだけに、少ない人数で飲めたので、色々な話が出来、
少し近くになれたかなと思っています。

外部の来客の方が来られる度に、わざわざ足を運んでくれ、
様子を覗いてくれた澤登さん。
なぜみまーもさんがあれだけ元気か、澤登さんを見てよ~くわかりました。

そして毎日、明るい雰囲気で場を盛り上げてくれた
幸崎さん、小宇佐さん初め、他のみまーものみなさんや中村さん、片山さん、
そして僕のくだらないツイッターを見て、足を運んでくれたみなさん、
毎日顔を出して、様子を覗いてくれたカドヤの野口さん、
それに本業もおろそかにずっとくだらないことを言い続け、助けてくれた高野さん
本当にありがとうございました!!
たぶん、僕が1番楽しんでいたと思います。
2014-01-10 10.42.19

とにかく手を上げてやってみることで、
いろいろな人が助けてくれるということを
実感できたのがとても大きな経験になりました。

今回、いつも中心にいる高野さんが準備期間中、倒れていたこともあり、
自然と「弱ってる高野さんに連絡するのはやめよう」的な雰囲気もあり、
イベント開始までの準備そして最初の3日間を
3団体、協力しながら自分たちの意志と行動で乗り切れたということは
非常に大きなことでは無いかなと思います。

まだ計画していることがいっぱいあります。
その際は、大いに皆さんを巻き込んで、
助けてもらいながらやっていこうと思います。

それはスープを作るように各素材の味を大切にしながら、
1つの商品として提供する。ということにつながります。
そうやって「まち」って作っていくべきなのではないかなとも思います。

ということで本当に皆さん有難うございました!

一旦、汁男優は卒業します。
次のイベントは2/9(日)予定。

これもどこかで発表します!
それでは!