子どもたちの声が響き渡れば地域は加速していく。

商店街でキッザニア。

10月某日、asobi基地さんと「アキナイ山王亭」を使ってイベントをする
ということは決まっていたものの大したアイディアも無く、
「これまでのasobi基地さんのスタイルでやるのかな~」なんて思っていた。

もどかしい思いはすごくあったものの、自分の中ではそれでいいのかなと思いつつも、
まあ商店街に子どもたちが来るし、それなりにはなるんでないかと思っていた。

何かしら商店街を絡めたいとぼんやりと考えながら、
そんな状態のまま「山王カフェ」菊池さんと打ち合わせをしていた。
「日曜日なんでね、なかなかスタッフを借りだして
っていうのは厳しいかもしれないですね」

僕も大したアイディアを持っていたわけではないので、
なんとなく難しいのかなと思っていると、「ああ、そうか」と
8月末の光景が目に浮かんだ。

それは「六兵衛」さんという蕎麦屋さんが地域のお祭時に店前で
子どもたちが外でぶっかけそばを懸命に売っている姿だ。

子どもたちが商売体験をする。
それならば店にもそこまで迷惑かけないし、
何より子どもたちも楽しめる。
キッザニアのような架空通貨ではなく、実際のお金、商品、人の交流ができる。

それに元々僕が商店街に興味をもったきっかけ、
それは商店街はプロの集まりということ。
各店舗が自分のアキナイで生活を立てている、そんなプロ。
そんなプロに弟子入りして教えてもらう。

おお、これができれば「あそび道場」としてやりたかったこともできる。
この企画なら商店街でやる意味が出る!
そう思い、それを小笠原さんに伝えると好反応!
その後、小笠原さんに告知をしてもらうとあっという間(史上最速??)に
30個あった席が埋まる。
2,000円という金額を払ってまで、参加したいという意思が素直に嬉しかったと同時に、
これは生半可なことをやったら許されないぞという気持ちにもなった。
それにこういった体験は求められてるんだなと強く実感した。

で、ここで一旦脱線して「伝う」という話。
僕が「道場」というスタイルにしたい1番の意味は
その道を師匠、弟子という関係で継いでいくということ。

よく街のお祭りなんかで子どもたちだけで販売しているのを見るけど、
あれはあれですごく微笑ましいんだけど、
それを見て色々教えてあげられるプロがいないというのは非常にもったいないなと思う。
僕がこう強く思うのは理由があって、僕はずっと部活の先生に恵まれなかった。
中学時代は、バレーボールで途中で先生が移動、
高校時代はラグビーを教えてくれる先生がいなかった。
確かに先生がいないという中で自分たちで物事を考えて、
行動に移して、その結果をもって別の行動をするというのは
それで意味があることなんだけど、それでもやっぱり僕らは知りたかった、
勝ち方やゲームの運び方、強い相手との戦い方、各プレイの仕方。

だから、その師匠と弟子というスタイルはどうしても欲しかった。

「永遠の0」という売れた本がある。
この感想を話していた時に
「なんでおじいちゃんは孫に最初から言わなかったの?」
そこが納得行かないという話があった。
僕も確かにそう思うんだけど、それよりも
「なんでおじいちゃんに聞かなかったの?」
という思いがあった。それは僕の大好きなG戦場ヘブンズドアにある
「あんたが大蔵さんのこと知ろうとしなかっただけじゃん」というセリフ。

知ろうとする気持ち、「知ろうと=素人」それがあってこそ、
初めて「伝える」「伝わる」の関係が成り立つんではないだろうか。

今回、イベントをやってみて商店街の人から
「商売の基本を思い出した」という声があった。
モノを売るということ、必死に声を出して、相手に気づいてもらって、
それで魅力を伝えて、モノを売る。
そんな基本を子どもたちから思い出させられる。

G戦場ヘブンズドアで言えば町蔵が動物園で迷子になった子に言うセリフ
「お前の得意なことは何だ、歌か?じゃあ大声で歌ってみろ!」
ってちょっとまあクサイ部分もあるんだけど、
そういう関係がそこにはある気がする。

だから師匠と弟子という関係性っていいと思うし、
もっとあるべきだと思う。
自分がそういう関係に乏しかったからなおさらそう思う。
しかもそれは渋谷や六本木とかおしゃれな場所じゃなく、
自分の街にもそういう場所があるんだよって気づいてほしいし、教えていきたい。
それが僕の行動の源だと思う。

で、だいぶ脱線してしまったんですけど、
参加者がすぐに埋まってそこからが本当の勝負だった。

商店街の理事で、いつもサポートしてくれる高野さんから
「来てくれた子どもたちを絶対満足させなきゃダメだよ」
という言葉、その言葉を元に何度も打ち合わせをして、
時には飲みながら(いつも?)内容を詰めていった。

子どもたちが職業体験をする、それだけで満足するか?
それだったら最後にお菓子をあげよう、
ということで小笠原さんに相談し、
創健社さまからのお菓子のご提供があり、
でもそれだけで足りるか、
袋いっぱいいろんなお菓子が入っていたほうが喜ぶんじゃないの?
ってことでお菓子を追加購入した。

お菓子をただあげるだけで喜ぶ??
って発想からじゃあお金と交換しよう、
そしてそれはバイト代という形で店主さんから渡してもらおう、
ということで、銀行券も作った。
毎度おなじみの市橋さんのデザインはやっぱりいつも素敵で、
見た瞬間、これだ!って思えた。

各店舗に回って企画の説明をし、協力も仰いだ。
ある程度「この店は協力してくれるかな」と当たりをつけて回っていったんだけど、
その中で美容室の「Cut salon Bear」さんは話しに行ったあとすぐに
参加したいということで、メニューまでつけて返事をくれていた。
想定していなかっただけに、その姿勢に感謝した。

その上で、何を売ったらいいだろうということで、
そして売り切る体験をさせてあげたいということで、
メニューを決めていった。
ここは各店舗さんからもアイディアをいただき、
それが僕にとっては嬉しかった。
さすがその道のプロ。

そうだ商売といえばPOPだ!
ということで、POP作りをその日のスケジュールに入れてもらった。
その上で子どもたちでも簡単にできるもの(小笠原さん談)ということで、
結果的には出来なかったけど、ボタンの貼付けだったり、
メニューも白抜きで用意しておけば子どもたちが好きに装飾できる
ということで考えていった。

さらには判子も即興で作った。
統一感を出すために、これは子どもたちの満足というより、
自分の満足感にも近いんだけど・・・
それに途中から手伝ってもらった嫁が勝手にメダルを作っていた。
「子どもたちに満足してもらう」
その思いで作ってくれた。とても嬉しかった。
このメダルは最後に子どもたちに渡した時とても喜んでいた。
お菓子より喜んでる顔が印象的だった、お金をかければいいってもんじゃないんだね。
ちなみに判子も嫁にお願いした、素人なのにすごく丁寧に作ってくれた。
ありがとう。

いよいよ当日。
僕は正直、午前中のことは覚えていない。

その前の日に足を捻挫してて痛かったはずなんだけど、
とにかく走り回った。あっちへ行き、こっちへ行き、
その場で改善して、またやり直し。

その上で「アキナイ山王亭」でやっていた
「サンマご飯」「そば米汁」の販売、
ちゃんと準備は出来ていたんだけど、
子どもたちの年齢に合わせた
オペレーションまでちゃんと考えきれていなかった。

だからその店に当たった子には少し悪いことをしてしまったと思う。
本当にごめんなさい。
今度は3倍楽しい思いをさせるように頑張ります!

そんなこんなであっという間に午前の部は終わった。

当日「アキナイ山王亭」は途中離脱した子のために用意していた。
だけど、その場所へ来る子はいなかった。
みんな自分の持ち場で一生懸命遊んでくれた。
子どもたちの最初の不安げな顔と最後の自信に満ちた顔、
この変わり様がとても気持ちよかった。

で、午後の部。
午前中を振り返った、asobi基地のスタッフさんよりいくつかの改善要望があった。
その場で色々対応していく姿はとても参考になりました。
そしてここまで一切触れてこなかった、
当日手伝ってくれたうちの仲間の提案により「サンマご飯」も改善できた、
素晴らしいね、ありがとう。

いつも言うけどこういうライブ感ってたまらない。
動いていく感、転がっていく感、
そういうものはとてつもなく面白いし、それが自分を生かしているのかなとも思う。
今回はその言動が「子どもたちの満足」、
でもこれって「アキナイ」の基本ですよね。
お客さまの満足、相手の満足、それなくして商売たるを得ない。
先ほどは店主さんって言ったけど、これは自分にもすごく当てはまる。

午後の部は、僕もある程度は覚えている。
色々な対応の結果、各店舗でのオペレーションもスムーズに出来た。

午後は午前よりも「売り切ろう」という感じが出ていて、
実際に売り切った時の顔はとても印象的だった。

この午前と午後の差っていうのは
来てくださった皆さんにはとても申し訳ないことで、
それはこの場を借りてお詫びしたいと思います。

でも午前の方はこの「リトルアキナイ」の
1番最初の生まれたての顔が見えたということで、お許し下さい。
次を楽しむための投資だと思っていただければ幸いです。

午後の部も無事に終わり、
最後は残った「サンマご飯」「そば米汁」も配った。
意外に好評で嬉しかった。
「サンマご飯」はいつもお世話になっている
石巻マルシェさんから教えていただいたものです。
ありがとうございます!

いつも仕事で使っている「アキナイ山王亭」に
人がたくさんいるのが嬉しかったし、
今後もこういうことをどんどんやって、続けていかなければいけない。

僕はよく思う。
自分の住む街のことを自分が考えなかったら誰が考えるんだと。
もちろんもっと考えなければいけないこともある、
だけどそれと同じように自分の住む街って
もっと大事にしていいのでは無いかと思う。

僕はこの大森という地をたまたま選んだし、
ひょっとして何年かしたら違う街に住んでるかもしれない。
でもこの今住んでる街を自分の好きなように楽しくできるのなら
そんな面白いことは無いかもしれない。

最後はasobi基地スタッフさんとの反省会。
参加してくださった皆さんからのアンケートは
非常に興味深いものでした。
何度も言うけど、やっぱり午前の声と午後の声が違ったのが申し訳ないなと思った。

まずは元々満足とともに最重要視していた「安全面」で
何も問題なく運営できたというのが、とにかく良かった。
通り沿いの商店街ということで常に車が後ろを走っている中、
子どもたちは少し怖かったとも思う。
それをスタッフの方、親御さんの目のお陰ですね、
この場を借りてお礼申し上げます。

もし安全面で何かあったら、この企画の終わりを意味していたので、
本当に重要な事でした。

それにこの種の企画をやると地域からだいたいクレームが入るそうなんですが、
それも無かった、今回は店の中で体験をするという形ではなく、
商店街の通りにもう一つの商店街を作るということがやりたかったので、
それは通りを狭くすることにもなって、
そんな中でもクレームにならなかったのは大きな自信になる気がします。

この企画後、facebookには参加した親御さんのたちの書き込みや
参加者のレポートなどを拝見することが出来ました。
参加してよかったという意見は嬉しかったですが、
それよりもその上で色々とご提案してくださったり、
子どもたちの様子を聞けたほうがうれしかったですね。

さらに商店街の店主さんからは「ありがとう!」という言葉。
ホントはこっちが協力してもらって「ありがとうございます!」なんですけど、
そういった意味で、別の商店街でとても美味しい「大学いも」を作っていて
子どもが同じ幼稚園に通う生駒さんの言葉「三方良し」という言葉の通りになったのではないかなと思う。

でも、これはあくまで1回の終わった話なんで、
これを基にどう次回つなげていくか、本当の意味で活性化していく、
活性化というか循環させるという方があってる気がするんですが、
そういったことをしていければ意味が無いと強く思います。

今回やったことで、各店舗さんからも様々なアイディアをもらいました。
そして僕らも当日を迎える前に、
いろいろとアイディアを出したもので今回は温存したものもあります。
そういったものを少しづつやっていきながら、さらによいものにして行き、
いろんな地域でやれたらなと思うので、興味をもった商店街の方、ぜひお誘いください。
僕の本業はインターネットです。
僕はコレを基に各地域を繋ぎたいです。
そのためにまずは各地域を活性化するというか、
今使われてない死んだ資源に再び息を吹き込む、
そんなことがしたいと思うわけです。

で、最後にやる意義に関して
『若者よ、君の20年後の飯の種は「今存在しない仕事だ」』という
駒崎弘樹さんの記事があったけど
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO62980660S3A121C1000000/

世の中にはいろんな事をしている人がいる、それも身近に。
そんなことを小さいうちから感じてほしいというのがあった。
20年後にある仕事、そんなの分からない。
だけどそのタネとなるものは絶対に現時代にあるはずで、
そういうものを見据えながらそして感じながら、生きていってほしい。
それに君の住む街には色々なプロが居るんだよってわかってほしい。
なにか困ったら、親だけじゃなくて街にいる人に聞いたらいい。
図書館でも映画館でも商店街でもスーパーでも先生でも、
そういうきっかけというか視野を広げるということに意義があるのではないかと思う。

改めて、最後に今回ご一緒してくださった「asobi基地」さん、
素晴らしい運営ありがとうございました。
たぶんお客さまはその信頼感に対して、ファンになっているのだと強く感じました。
それにこういうことを考える機会をくれたことにも感謝しています。

そしてわざわざ大森まで来てくださった皆様。
大森って、ほんとは夜のほうが面白いんですけどね。
そんな場所へはるばるありがとうございました。
少しは楽しんでいただけたでしょうか?
ぜひまた足を運んでいただければ嬉しいです。

そしてあと、当日手伝ってくれたうちの仲間たちには本当に感謝してます。
ありがとう!
この恩は・・・・
もう返したよね!?

その内容ここで公表した方がいい??

タイトルの
「子どもたちの声が響き渡れば地域は加速していく。」
は御存知の通り、ブルーハーツ「TRAIN TRAIN」の
「その音が響き渡ればブルースは加速していく」
ですね。

あんな簡単な演奏、コードで格好良い。
かっこいいものには理由がない。
それくらい子どもたちの声には理由がないと思います。
その必然である子どもたちの声が街に響けば、
みんな重い腰をあげるのではないかというのがタイトルの由来です。

まあ最後のオチとしては
うちの子どもは当日ポケモンセンターに行ってました。
ケルディオが欲しかったということで・・
ポケモンに勝てるような形にしていかないと!

■asobi基地さん写真集
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.425390727563228.1073741883.257707320998237&type=1

■寄金佳一さんブログ
http://yorikanekeiichi.com/asobikichi-little-akinai-vol1-5199.html

■まとめ